埼玉県の名勝「長瀞」は、岩畳が有名です。
沢のレスキュー講習会に参加してきました。
講師は、恐れ多くも「埼玉県警山岳救助隊」
昨年の秩父大滝、ヘリの遭難事故でも救出に活躍した方々です。
衣服は沢登りスタイルで参加するように言われました。
着替えは必須。泳げるか?とも、聞かれましたが・・・・
この日は暑く、
周囲では、長瀞ライン下りや、ラフィティングの人々
家族でバーベキューの川遊びも多く、
レジャーで賑わっている中での講習会です。
救命胴衣を着て、全員がラフトボートに乗りました。
普段、決して乗ることの出来ない
「埼玉県警察」の文字が眩しい黄色いラフトボート。
観光客の中には、警察官の訓練?と思っている人も??
あまりに暑いので、話を聞くために、日陰の対岸に移動します。
早速、隊長が川にザブザブ入ります。
川の下の石に足を取られ、
水の流れにはまったら危ないという姿勢を教授。
こうなると、もはや脱出は困難との事。
流木も引っ掛かると水流の圧力で抜けられないそうです。
こんな状況になったら大変!
水で体力を奪われて、すぐに低体温症になってしまうそうです。
続いて、岩登り
水辺への落下の仕方。
(水に落ちるにも、足から落ちない事)などなど・・・・
イヤというほど、川に落ちました。
鼻に水が入ってツンとします。
子供の時以来の、この鼻の感覚
沢の渡渉の仕方、ヘツリかた。
水の流れを読んでの泳ぎ方。
たくさん教わりました。
しかし、救命胴衣を着ると、犬掻きでも大丈夫です!
救命胴衣の重要さを思い知ります。
深い泳ぎのある沢には、持っていくのが賢明です。
水に浮くロープも、レスキューには便利です。
水の怖さが、よく理解できました。
さて、講習会も最終。
皆が、対岸へ帰ろうという時、
川上から人が叫んでいます。
「子供が溺れた~!!」
・・・・本当のレスキューになってしまいました。・・・・
緊張感漂う中、こちらに助けを呼んでいます。
長瀞の流れに飲まれてしまい、
溺れている子供の居場所の見当が付きません。
高校生くらいの男子が2人、空身で川に飛び込みました。
場所を知らせようとします。
子供の頭が一部、見えました。
しかし、助けに行った男子も流されています。
なかなかその子供には到達しません。
子供は、また沈んでしまいました。
そのうちに子供の手が見えました。
レスキュー隊長が、泳いで救助に行きます。
すぐに子供に追いつきました。
救助成功!!子供の意識もありました。
続いて講習会の仲間が、ロープを投げました。
高校生男子二人を隊員が確保。
こちらも無事でした!
その子のお父さんが走って来ます。
泳いでも追いつけなかったので
岸を走ってきたのです。顔面蒼白でした。
「警察の人なので安心してください」と
仲間が口々に言います。
8歳の男の子、
開口一番は「シュノーケルを失くしちゃった」
と言いながら、すぐに水を吐きだしました。
皆、その姿を見て、ようやく笑顔になりました。
すぐに隊長が救急車を呼びます。
かなり水を飲んでいるため
「肺水腫」になる疑いもあるらしいです。
レントゲンを撮って、肺に水が溜まっていないか
医師に見てもらわないと危ないそうです。
安心してそのまま帰っては、
夜中から数日後に、亡くなる人もいるのだそうです。
私は、何も出来ず、見ていて足が震えていました。
この子供と男子たちは、実に運が良かったです
本物のレスキューチームが川下に居たのですから!
みんな、助かって本当に良かったです。
自宅に戻って考えれば、考えるほど、後から怖くなりました。
その日、埼玉県警レスキュー隊の隊長には
ずっと、遭難連絡がかかってきました。
この日も、秩父の大滝で1件、両神山でも1件また遭難があり、
その度に隊長は携帯で指示をしていました。
私たちにできることは、安全登山。
知識と経験をしっかりと身つけることなのかな?
と心から思いました。